かたちのない夜
映画『千と千尋の神隠し』から直接モチーフを借りるのではなく、「名前が薄れていく感覚」や「ここにいるのに、自分だと言い切れない夜」の手触りだけをすくい取った曲です。誰かを責めたり世界を呪ったりする代わりに、だれのせいでもない痛みと一緒に、ただ静かに立ち尽くしている心の状態を、そのまま低い声と最小限の伴奏に落とし込みました。タイトルの「かたちのない夜」は、真っ暗な絶望ではなく、意味も名前も与えられていない感情が、かろうじて熱だけを残して続いている時間のことです。無理に前向きになろうとするでもなく、「それでもまだここにいる」という事実だけをそっと肯定したくて書いた一曲です。説明できないしんどさを抱えたまま、それでも今日をやり過ごそうとしている誰かの、小さな居場所になれたらうれしいです。